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side:B 背負っているもの
――――side of ”before”
「『フェニックス』!」
迫りくる獣を押さえながら、片手で魔法を放った。
炎の鳥が、終末の獣達を薙ぎ払う。
剣で受け止めていた獣は胴体を失っても、頭だけになって私に迫ろうとしていた。
「――」
無造作に剣を振る。
勢いだけで頭の獣を両断すると、剣から離れ、奈落へと消えていった。
「く、クリシュナさん!」
「!」
シンシアさんの声に反応し、振り返ると両サイドから二匹の獣が飛び込んできていた。
「っ――波』ぁっ!」
片手で気功波を放ちつつ、剣をタイミングよく振り下ろしもう片方を両断した。
「はぁ……はぁ……」
なんとか、迎撃出来たけど、こうして一息つく間すら惜しい。
魔法で一層することは出来ても、私の魔法では多方向へのケアが出来ない。
物量で押し潰そうとする終末の獣に対しては、
隙が大きくなる魔法よりも剣などの接近戦の方が持ちこたえられそうだが、
激しい動きにシンシアさんが耐えきれるのか……
私は剣を構えつつも踏み出せずにいた。




