side:B 制限
黒い獣達は『ミバロウカ』で模倣された狼に酷似していた。
そして、獣達は船内から出てきた私達に気付き、襲いかからんと姿勢を低くした。
「……シンシアさん」
「な、なんでしょうか?」
「背中から、私にしがみついて下さい」
私は抱えていたシンシアさんを後ろに回した。
「は、はい」
シンシアさんは私の首に手を回す、私はシンシアさんの体重を受け入れるように前屈みになった。
『――――ゥゥゥゥウウウウッ』
終末の獣が雄たけびをあげ、飛びかかってくる。
私は剣を抜き、先陣を切った獣を迎え撃った。
「はぁっ!」
口を開き、牙を剥きだす獣のその頭から上を剣のリーチを活かし両断した。
『―――――!』
「な……!?」
声にならない叫びを上げながら、獣がそのまま突っ込んできた。
寸前のところで、私はデッキの板を踏ん張り、跳びあがることで獣の突撃を回避した。
「うっ……!」
シンシアさんが苦悶の声を漏らす。
極力負担をかけないようにしたが、それでも急に自身の体重がかかったことで腕がしなっていた。
出入り口の屋根に着地すると、シンシアさんは息を吐きだしながら脱力した。
……余り激しい動きは出来ない。
その中で湧いて出てくる終末の獣たちに立ち向かわなければならなかった。




