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最強一家の末娘~鬱フラグブレイカーの救済録~  作者: 結城コウ
第9章 海を渡る少女
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side:B time limit

――――side of ”before”



傾きだした船の中、私は踏ん張りながら、シンシアさんを抱きかかえた。


「ひゃっ!」


「外に出ます、掴まっていて下さい!」


最悪、船がこのまま沈んでいったとしても、デッキ上なりに出て、海面を泳ぐ、漂うという方法は可能だ。


しかし、内部にいては船ごと沈んでしまう。


そして、この期に及んでも、()()()への影響を考えれば、自身の手で船を壊して進む訳にはいかず、

沈みゆく船の中で通路を通っていかねばならなかった。


「く、クリシュナさん、あれっ!」


シンシアさんが指刺した通路の先には黒い獣が居た。


「な……!?」


どうして、こんなところに――そう思う間もなく、上から飛び降りるように獣は襲いかかってきた。


「――『飛閃脚』!」


エル兄さんに指摘されてたように足技を磨いていてよかった。


両手が塞がった状態で、襲いかかる獣の延髄に蹴りを見舞い、同時に上の方へと跳び移ることが出来た。


「クリシュナさん、今のって……」


心当たりがあった。


しかし、口にする前にデッキへと飛び出すと、黒い獣達が船を――海を空を世界を――喰らっていた。


「……”終末の獣”」

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