”アタシ”
「ところで、シンシアさん」
「はい?」
「貴女の側の話も聞かせてもらえますか?何か参考になるかも知れません」
「そうですね……えっと…………」
そういうシンシアさんはなにか言いづらそうな表情をしていた。
「どうしたんですか?」
「あの……突拍子もない話なんですが、聞いてもらえますか?」
「勿論です」
「はい……あの滅茶苦茶な話を言ってると思いますが、アタシは未来を知っていたんだ」
「……!」
「本来の未来は……元々、私は悪い人間だったんだ。悪いこともしていたし、王女のこともいじめていた。そこに父の失脚があって、悪行がばれて自業自得で裁かれたんだ」
「お嬢様?なにをおっしゃって……」
「アイナ、これが本来のシナリオなんだ。それが元々の私……」
なにかが頭に引っかかった。
「だから……アタシはその未来を回避しようとしたんだ。
そのこと自体は成功したと思っていた……あの子が……アンヌが、そして父が殺されるまでは……」
「……」
「なにか見えない力……シナリオの強制力が働いたみたいにアタシは断頭台に誘導された……そう思えてならないんだ……」
「ふむ……然るにシンシアさん」
「はい?」
「本筋とは関係ないことかも知れませんが……貴女、本来のシンシアさんじゃないんですよね?」
「え、ええ……」
「お、お嬢様!?」
「恐らくは、多重人格……いや、未来を知っていた?異世界の監視者、とか?」
「!?」
「貴女……もしかして、未来を知っていたというよりは、見た……追体験したからわかっていたのでは?」




