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side:B シンシアの冴え
「なにかって……」
「まずは、私達の現状を巻き戻った人に伝えましょう!なにか手を打ってくれるかも知れません」
「そんなの、どうするつもりですか?」
言葉で言うより簡単なことではない。
しかし、この時のシンシアさんは冴えていた。
「……乾燥剤、です。あれと同じような現象を起せませんか?」
「魔法、ですか。確かに出来ないことはないと思いますが、具体的な方法が思い浮かびませんね……」
「具体的な方法……非常事態ですし、船中に魔法を使った痕跡を残すのはどうですか?」
「うーん……余りにも、闇雲ですね。少なくとも、受け取る側が気付かないとメッセージにはなりません」
「メッセージ……受け取る側……そうだ、馬車です!馬車に痕跡を残しましょう」
「確かに、馬車ならちーちゃんが気付いてもらえるかも知れませんね。
だけど、どんな痕跡を残すかによりましょうか」
「まずは行ってみましょう!そこから出来ることを考えてみないと!」
「確かに、そうですね」
私達は区画のほうに向かうことにした。




