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side of ”before”
――――side of ”before”
シンシアさんから聞かされた内容に私は愕然とした。
「……つまり、私達は”ここ”に取り残された、ってことですか」
「ええ、そうですわ。巻き戻る前の世界に」
「っ……」
原因を追及すれば、私のせいだ。
時間が巻き戻っていることを認知したせいで、私は自然と無意識の内にその現象に抗ってしまったのだ。
高すぎる耐性が災いしてしまった形になった。
そして、同時にこの世界の末路についても気付いてしまった。
「ここは平行世界とも違う、消えゆく世界です」
「……」
「このままだとどうなるかわかりませんが、リタ船長がそうだったように私から離れれば、
シンシアさんはあっちにいけるかも知れません」
「!……それで、それでクリシュナさんはどうされるのですか?」
「……どうにかしますよ」
シンシアさんはじっと私の目を見つめてきた。
思わず、私は目をそらしてしまった。
「駄目です」
「シンシアさん……」
「二人なら、なにか出来ることがあるかも知れません。せめて、それを見つけるまでは……!」




