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side:A 危ういのは誰か
「大変なことねぇ……そうは言っても、これ以上はどうしようもないんじゃないかい?」
「探せるのは船中。船内にいないとなったら……」
「悪いけど、船を預かる者としてはこの辺りの海域を探す、なんてことは出来ないよ?
一人のために、船の全員を危険にさらすことになりかねない」
「それはわかってる」
先程述べたように、海に落ちたのなら、まだ望みはある。
ちーちゃんが恐れていたのは……
「少し、勘違いをしてない?身を案じるべきは、我々のほうかも知れないんだよ?」
「……どういうことだい?」
「クリスちゃんなんて、殺しても死ぬもんじゃない。
だけど、そのクリスちゃんが”消えた”ということは、クリスちゃんが”消える”ことになった”何か”があるってことだよ」
「”何か”……?」
「同時に”何か”に対抗出来る可能性が一番高いクリスちゃんがいなくなったってことでもある。
つまり、ワタシ達が”何か”に消されるかも知れないんだよ?」
「っ……!!」




