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side of ”after”
――――side of ”after”
「それじゃあ、どこにもいなかったって言うのかい?」
「うん、これは非常にマズイよ」
ちーちゃんはブリッジでリタ船長と向かい合って話していた。
周囲にはその時、手の空いている船員達も輪になって、話し合いに耳を傾けていた。
「隅々まで探したのかい?どこか隅に潜んでたりなんか……」
「かくれんぼでもしてる訳じゃあるまいし、そんなことする理由がない。
まぁ、それでも、一応、みんなに協力してもらって、船中を探したんだ」
「ううん……参ったな。最後に見たって言うのが、夜のデッキだって?」
「うん、ちょうど、レナが見たそうだよ」
「夜の海に落ちたんじゃないかい?そうなると、探すのは……」
「いや、それなら、それで大丈夫」
「え?」
「クリスちゃんなら、何とでもなる。わかるよね?」
「海を舐めるんじゃない、と言いたいところだけど、まぁ、わからないでもないさね」
「問題は”そうじゃない”時だよ」
「そうじゃない時って何さ?」
「具体的な何かじゃなく……大変なことが起こってってことだよ」




