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そして、誰が残るのか?
馬車から出て、裏に繋いでいた、馬達を確認する。
しかし、そこにそれまでいたという痕跡はあっても、馬達はいなかった。
「どういう事ですの!?どうして、あの子たちまで……」
「やっぱり……!」
「え?」
困惑するシンシアさんを引っ張って、区画を飛び出した。
「クリシュナさん!?」
私はシンシアさんを抱きかかえて、走り出した。
「お、お姫様だっこ……」
シンシアさんの体力に合わせている暇はない。
しかし、シンシアさんを一人にする訳にはいかない以上、それが最善だと思った。
「……意識のないセレナや、海上で大した使い道がない馬達がいなくなるってことはつまり、
失踪や誘拐じゃないってことです。文字通りの消失です!」
「え……あ、じゃあ、みんなは、どこに!?」
「わかりません!けど……」
私はデッキに飛び出した。
開けている船上なら、まだ何かやりようがあるんじゃないかと言う判断だ。
「ここにも……今まで通った通路のどこにも、人の気配はなかった……」
「まさか、みんな……船員さん達も消えたんですか!?」
暗い月夜の中、私達は船上で二人ぼっちだった。




