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現在地:不明
ブリッジにいたリタ船長は、私達の話を聞いて、机の上で両手を重ね合わせた頬杖で口もとを覆いながらも、
難しい表情を隠しきれてはいなかった。
「なる程、それで機器類に異常がないか、知りたいってことさね?」
「はい」
「なら、言っておこうかね。既に異常は出てる」
「!」
リタ船長は立ち上がり、窓の方へ歩みを進めた。
「船の知識はどれだけ持っているんだい?」
「大して知りませんが……」
「同じく……」
「そうかい。なら、こう言っておくかね……今、我々はどこにいるのかわからない」
「え!?」
「と言っても大体の位置は目印になりそうな島は見つけたから、海図と照らし合わせていけば、ある程度は割りだせるさね」
「そう……なんですか。じゃあ、正確な位置がわからないと言うのは……」
「当然、機器の不調さね。魔法によって正確な位置を割り出し、航路にズレがないか確認出来る……しかし、どうやら機器によると、てんでデタラメな場所を指してるのさ」
十中八九、巻き戻しによるズレだろう。
「といっても、それ自体は珍しくない。
船乗りにとっては、不確かな機器より自分達の目と経験が頼りだからね」




