hardluck
……一週間が経った。
その日は、鍛錬の合間にシンシアさんに付き合って三人で”トランプ”というカードで、
ババ抜きという遊びをしていた。
「船員さん達相手に、カジノの真似事とか、したら駄目でしょうか?」
手札にジョーカーはない、残りは三枚だ。
「このトランプを使って?」
「ええ」
ちーちゃんが私の手札を引いた、残りは二枚。
「ポーカーやバカラもいいですが、ブラックジャックのディーラーをやってみたいですわ」
「へぇ、なんか意外。ルール知ってるんだ」
ちーちゃんの手札をシンシアさんが引いた。シンシアさんの眉がぴくりと動いた。
「ルールくらい知ってますわ」
シンシアさんはこちらを見ない。
あからさまな態度にジョーカーの気配を感じつつ、
手札を引く……そのジョーカーを引いてしまった。
「まぁ、どうしてもやりたかったら、船長に許可貰えば?」
ちーちゃんが手札を引くと、同時に手札をこちらに見せた、ちーちゃんが1抜けだった。
「む……クリシュナさんはどう思いますか?」
手番はシンシアさんだったので、シンシアさんが私の手札を引いた。
「ギャンブルは流石にまずいのでは?」
手元に残ったのはジョーカーだった。
「まぁ……そうですわね」
シンシアさんはがっくりとしながら、手札を下した。
「あれ、クリスちゃんがドベ?珍しいね」
確かに、私は他人の表情の機微がわかるので、こういうカードゲームは比較的強い。
「負ける時は負けますよ」
「はは、雨が降るかもね」
「そんな馬鹿な」
……しかし、天の啓示という意味ではこのジョーカーがそのサインだったのかも知れない。




