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最強一家の末娘~鬱フラグブレイカーの救済録~  作者: 結城コウ
第9章 海を渡る少女
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hardluck



……一週間が経った。


その日は、鍛錬の合間にシンシアさんに付き合って三人で”トランプ”というカードで、

ババ抜きという遊びをしていた。


「船員さん達相手に、カジノの真似事とか、したら駄目でしょうか?」


手札にジョーカーはない、残りは三枚だ。


「このトランプを使って?」


「ええ」


ちーちゃんが私の手札を引いた、残りは二枚。


「ポーカーやバカラもいいですが、ブラックジャックのディーラーをやってみたいですわ」


「へぇ、なんか意外。ルール知ってるんだ」


ちーちゃんの手札をシンシアさんが引いた。シンシアさんの眉がぴくりと動いた。


「ルールくらい知ってますわ」


シンシアさんはこちらを見ない。

あからさまな態度にジョーカーの気配を感じつつ、

手札を引く……そのジョーカーを引いてしまった。


「まぁ、どうしてもやりたかったら、船長に許可貰えば?」


ちーちゃんが手札を引くと、同時に手札をこちらに見せた、ちーちゃんが1抜けだった。


「む……クリシュナさんはどう思いますか?」


手番はシンシアさんだったので、シンシアさんが私の手札を引いた。


「ギャンブルは流石にまずいのでは?」


手元に残ったのはジョーカーだった。


「まぁ……そうですわね」


シンシアさんはがっくりとしながら、手札を下した。


「あれ、クリスちゃんがドベ?珍しいね」


確かに、私は他人の表情の機微がわかるので、こういうカードゲームは比較的強い。


「負ける時は負けますよ」


「はは、雨が降るかもね」


「そんな馬鹿な」


……しかし、天の啓示という意味ではこのジョーカーがそのサインだったのかも知れない。

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