表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強一家の末娘~鬱フラグブレイカーの救済録~  作者: 結城コウ
第2章 旅立つ少女
3/1085

旅立ちの前の日 後編

「反対するのは訳がある」


「私がきょうだい達の中で一番弱いからですか?」


「それもある。だが、クリスはそれ以上に優しすぎるんだ」


「どういうことですか?」


「クリスのしようとしている旅は、厳しいものだ。優しい人間は辛い想いをするだろう」


「どうしてですか?アル兄さんだって、とても優しかった!」


「アルスフォードは……悲しみを背負っていたから」


「え……?」


「クリスはまだ小さかったから、覚えてないかも知れないな。アルスフォードには同じ年の幼馴染がいたのは知っているか?」


「いえ……」


「アリス……アルスフォードとはとても仲のいい女の子だった。だが、今はもういない……」


「!?」


「家族で運送業をやっていてな。森で馬車を引いていた時に家族共々魔物に襲われた」


「……じゃあ、その時に」


「お父さんやアルスフォードが駆け付けた時には手遅れだった。

それからだ、アルスフォードの技に悲しみがこもるようになったのは」


「……」


「アルスフォードはそれ以降も、助けたくても助けることの叶わなかったもの達の想いを命を背負うようにして強くなっていった。それがアルスフォードの強さの源だった」


「……じゃあ、アル兄さんはあの時……」


「心当たりがあるみたいだな。アルスフォードはクリスには自分と同じような悲しみを背負ってほしくないのだろう」












それでも――











それでも、私は――











私は大きく首を振った。


「アル兄さんは言ってました。自分のようにならなくていい、と」


「ならば……」


「自分とは違う強さを持つことが出来る、と」


「!!…………アルスフォードが、そう言ったのか」


私は大きく頷いた。


「……わかった。ならば、反対はしない」


「お父さん……」


「その悲しみを背負わない強さを見つけてきなさい」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ