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つくってあそべるのか?
リタ船長を探してみると、ちょうど、デッキの真ん中で、他の乗組員に指示を出していた。
「……うん?アンタら、どうかしたのかい?」
「えっと……大したことではないのですが」
明らかに仕事中に見えるリタ船長に、声をかけるのは躊躇われたが、
シンシアさんは合間を見て話をした。
「釣りね……そりゃあ、構わないよ。船員達の邪魔にならないようにしてくれりゃあ」
「ありがとうございます」
「道具はあるのかい?一応、ウチにも置いてあるっちゃあ、あるが」
「いえ、そこまで、お世話になれません。こちらで用意しますわ」
「そうかい……ん、します?」
「ええ」
「……まぁ、いいや、好きにしな」
「はい!」
……
許可を貰った、シンシアさんだったが、一度、馬車の一角にまで戻ってきた。
「それじゃあ、早速作ってみましょうか」
「作るって、竿をですか?」
「いえ、竿は『ポートピア』で手に入れてますわ」
「じゃあ、何を?」
「釣りをするには竿ともう一つ、大事なものがあるじゃないですか」
「…………餌、ですか?」
「ええ、疑似餌を作ってみましょう」




