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彼女が出来ること
「どうしたんですか?」
「やることが、なさすぎますわ!」
「暇ってことですか?」
「う……そういうことでもありますが、心の消耗と言いましょうか……」
まぁ、無理はない。
船での仕事がない以上、特にシンシアさんはやるべきことがない。
今までだと、馬車の手綱を握ったりしていたが、今回はその必要はない。
馬達の世話自体も以前からやっていることだし、おしゃべりで気を紛らわせようとしても、
私とちーちゃんは一緒に鍛錬することが多く、セレナの現状を考えると、話し相手すらままならない。
「うぐぅっ、自分が温室育ちだと認めたくはありませんが、毎日ビスケットなのも心の消耗が激しいですわ」
「そうは言っても、余分な食糧なんて……」
「魚です!ここは海なのでしょう!?」
「流石に私でも、貨物船と並びながら素潜りは……」
「違いますわ!それにそれだと私の出番がありませんわ!」
「え、シンシアさんが、潜るんですか?」
「い、いえ、そうではなく……釣りですわ!」
「釣り……出来るんですか?」
「リタ船長に掛け合ってみましょう!」




