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√n=回避
事実だけを言うのなら、この時の決断そのものが、私自身にとっての分岐点だった。
そして、この”物語”においての私は決して致命的な失敗を犯さない存在であることから、正しい選択をしなければ、ならなかった。
それがどんなに不自然であっても、私自身の直感を信じなければ、ならなかった。
だから、この先は私を信じることが出来た私の物語に分岐する――
「――やめましょう」
「……え?」
ちーちゃんは、選択を迫りながらも、その選択そのものを予想していなかったようだった。
「事態が好転する保証がない以上、今はやるべきじゃありません」
「……」
「……」
シンシアさんとちーちゃんはまるで目で会話をするかの如く、互いを見合っていた。
「セレナは今の状態で生きてるんです。命に別状がない以上、不確かな判断での行動は避けるべきです」
「……わかったよ。判断を委ねるといった手前、反対はしないよ」
「ですが、これから、セレーナさんはどうされるのですか?」
「もちろん、連れていきます。このままでも」
別の分岐の話は、書く気になれば、スピンオフ的な感じで別に書くと思います。




