そして、彼女は解き放たれた
ふぅ……と、息を吐き出した。
感触では成功したように感じた。
「レナさん、聞こえますか、どうですか?」
レナさんはゆっくりと閉じていた目を開いた。
「う……!」
レナさんは顔をしかめた。
「レナ、大丈夫かい!?」
傍で見ていた、リタ船長が駆け寄った。
「だ、大丈夫だよ、リタ姉ぇ、光が眩しかっただけだから……」
「光……普通に見えるんだね」
レナさんは”悪魔の眼”の進行状況により、失明に近い状態になっていた。
それが見えるということは、視界を塞いでいた、”呪い”が解呪されたことに他ならなかった。
「これで、大丈夫だと思いますが、本職の医者の意見も聞きながら、様子を見ましょう。
視界が元に戻ったことによる負担もあるはずです」
「あ、ああ、そうさね……」
リタ船長は心配そうにレナさんの肩を抱いた。
「でも、呪い自体の除去は出来たはずですよ。あとはリハビリですね」
「そうかい、そりゃあ、よかった!!」
よかったなぁ、とリタ船長はレナさんの肩を叩いた。
「それで、約束についてですけど……」
「ああ、船のことは任せな!でも、あの子は大丈夫なのかい?」
あの子……当然、セレナのことだ。
セレナの治療はまだ、これからだ。
「……ええ、大丈夫ですよ」
しかし、私は自分に言い聞かすように、そう返事していた。




