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最強一家の末娘~鬱フラグブレイカーの救済録~  作者: 結城コウ
第8章 呪われた少女
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繊細な硝子

病床で、レナさんは苦しそうに眠っていた。


以前より、症状が進行しているが一刻を争う、というほどではない。


だから、魔力が完全に回復するまで、一日待って、私達は来ていた。


「……」


聖魔石を左手で握り、右の指先に聖魔力を発生させる。


そして、レナさんの眉間にゆっくりと指先を置いた。


「っ……」


感覚で理解した。


異なる性質の魔力による中和……要は対消滅だ。


言葉で言うより、簡単な作業ではない。


単に聖魔力を流し込めばいいという訳ではない。


対消滅させなければならない。


要は全く同じだけの魔力が必要なのだ。


多すぎても、少なすぎても、後遺症が残るだろう。


「……」


額に汗が浮かぶ。


それでも、やるしかない。


現状、この場でそれだけのことが出来るのは私だけだ。


私は気功の『針』を思い出していた。


気功と魔力の差はあれど、感覚は似ていた。


聖魔力自体に自身の感覚を残し、ゆっくりと注入していく――


イメージはグラスにゆっくりと水を注ぐように――糸のように細い水をグラスに張り詰めるまで注ぐイメージ。


勢いよく注いではいけない。


それではグラスが割れてしまう(レナさんが危ない)から――


目を閉じ、感覚に集中する。


そして、グラスに水が張り詰めた時、私はゆっくりと指を離していた。

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