修正されるシナリオ
「カルマさま、マサキが捕まったデス」
「マサキ?ああ、『ポートピア』周辺の、か……」
”カルマ”はその報告を聞いて、一口、コーヒーを啜った。
「プランBへの変更が必要ね」
「ああ」
「どうしたの?それ自体は問題はないはずだけど」
「問題はない、だが、ここでプラン変更か。計画の遅れが気になるな」
「計画って……ああ、あのコの?」
「場合によっては直接干渉しないといけない」
「シナリオの修正は?」
「そちらは何とでもなる。むしろ、以前から行っている分、好都合とも取れるな」
「そう。状況の変化は?」
「クライアスター卿の失脚が早まるな」
「そうなるデスね」
「あら、形としては、このコの直属の上司じゃないの、大丈夫なの?」
「そのためのプランBだろ」
「ええ、ご心配なく、ワタシの方は問題ありません」
「元々はそういう爆弾だ。クライアスターのマッチポンプなんだよ」
「マッチポンプ?」
「山賊被害を増やすことで、軍備の強化を図っていたんだ。
軍の上層であるクライアスターには美味しい話だ。
実際それで、クライアスターの懐は潤っていた」
「加えて、マサキは元々兵士なのデス。そのマサキに山賊をコントロールさせていたのデス」
「聞いたところによると、そのコントロールに妖精にさせるために墓暴きまでしたらしいな、
この件自体がスキャンダルの火薬庫だったんだよ」
「……墓暴き?」
「妖精は、匂いで人間を判断するらしい、
妖精をコントロール出来る人間の匂いを死人の中から探したそうだ」
「でも、それだと死者の腐乱臭とかに……」
「スキャンダルの火薬庫だと言ったろ?随分、非人道的な事をしてるのさ」
「……それ以上はあまり聞きたくはないわね」
「ああ、聞かないほうがいいだろう。それより……」
「あ、海を渡る手配ね?」
「ああ、早いところ頼む」




