表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強一家の末娘~鬱フラグブレイカーの救済録~  作者: 結城コウ
第8章 呪われた少女
284/1085

思い出は分岐を起こすか?

その時、ふと、アル兄さんとの思い出が蘇った。



あれは確か、ボードゲームの相手をしてもらった時で――――





……




兵隊の駒を動かし、相手の王の駒を取ったほうが勝ちというゲーム……正式な名称はなんだったろうか?


何故だか、名前を忘れてしまったそのボードゲームで私はアル兄さんに相手をしてもらっていた。


「うーん……」


いい勝負をしている、というのはうぬぼれで、

今になって思えば、アル兄さんに接戦になるよう手加減をしてもらっていた。


「どう攻める、クリス?」


「決めた、ここにします」


我ながら、妙手だと思った。


ただ、アル兄さんの様子を伺うと口元に手を当て、何かをぼそり、と呟いた。


「……学ばせておくのも、いいかな」


「え?」


「いや、なんでもないよ。じゃあ、こう返そう」


アル兄さんは王への道を無防備に開けた。


それを見て、私は考え無しに飛びついてしまった。


「だったら、これで!」


私の一手を見てアル兄さんは、ふっと息を吐き出した。


「残念だけど、クリス。それは悪手だよ」


「えっ?」


「まぁ、最後までやってみようか」


アル兄さんに従い、最後まで指すと、よくわかった。


アル兄さんのあの一手は、罠だった。


攻めた先には一歩届かず、逆に無神経に飛び込んだことで、

薄くなった守りを突き破られ、私は負けてしまった。


「クリス、あの時はこう指すべきだったんだ」


アル兄さんの示した手は一見、遠回りに見えるような手だった。


しかし、攻めつつも、守りも崩していない良手だと、盤面を進めてみるとわかった。


「いいかい、クリス、この――に限らず、現実にも似たようなことが起る。

何もかも上手くいった気でいったと思い、詰めを見誤れば一気にひっくり返されることもあるんだ」




……


アル兄さんは教訓を教えてくれたのだろう。




そして、今、このことを思い出したということは……私は詰めを見誤っているという直感だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ