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死がない存在
「これで、終わりです……!」
私の気功は妖精を完全に拘束していた。
「……だけど、あたしを滅ぼすことは出来ないよっ!」
妖精は自身を自然そのものだと言った。
それ自体は真だろう。
「ですが、肉体を消滅させられて、復活までにどれだけの時間がかかりますか?」
「っ!」
そうなのだ、自然がある限り妖精に死の概念はない。
しかし、それは何度も復活出来るというだけで、そこに伴うリスクはない訳ではない。
「あなたの身体は自然エネルギーで構成されているようですが、気功で包み潰せば、あなたを消滅させられます。そして、そこからの復活は短く見積もっても2、3カ月はかかるでしょう」
「……」
「そうなれば、この人をどうこうすることは不可能です。
それまでにあなたの手が届かないところに行くでしょう」
「っ……そ、そんなの嫌だ」
「ですが、事実です」
「嫌だよぉ……シュウが死ぬなんて、嫌だよぉ……」
「……」
今更、泣き落としなんて通用しない。
先程、述べたように妖精に死の概念がない以上、手を下すことに罪悪感はない。
…………だけど、この違和感はなんだろう?




