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隠されてたピース
感覚は掴んだなら、あとは簡単な話だった。
一人一人でも、正気に戻していけば、それで、終わる。
勿論、山賊達は正気に戻したあと、拘束する手間はあったものの、
それは、討伐隊を優先的に回復させて、彼らに任せれば、何とかなった。
こうなれば、脅威はない。
ある一点の不安要素を除けば――
……
「そこ!」
最後の一人に『針』を打ち込んむ。
それで、終わりだ、本来なら――
しかし、その瞬間、倒れている白髪をと再び大男が抱きかかえようとした。
「!」
それを察知した私は跳躍した。
バク宙の要領で大きく跳び越えた私は大男の前に立ちふさがった。
「!」
「はっ!」
大男の胸に『針』を打ち込むと、大男は放心した。
大男に『気付け』を行っていなかった訳じゃない。
再び、催眠を受けたのだ。
そのことから、浮かび上がる事実は――
「無駄ですよ。あなたのことは気付いています」
……返事はない。
ざわざわと周囲から困惑の声があがるばかりだった。
こうなった以上、仕方がない。
散々引っ掻き回された以上、こちらも正攻法だけでは済ますことが出来ない。




