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本当の狙い
「っ!リタさん、ちーちゃんに薄荷を!」
「え……?」
「……」
だとしたら、危ないのは――
「私は拠点の方へ戻ります!」
「ちょ、ちょっと、クリス!?」
構わず、私は走り出した。
そうだ、仮に拠点の洞窟周辺に正気を失った原因があるとすれば――
もし、私の最悪の想定…………それが、罠などの受動的な装置ではなく、
人為的なモノであったとしたら――
白髪にとって、私やちーちゃんという脅威がなくなった今こそ、最大の好機なんだ――!!
……
「――なにをしてるんですかっっ!!」
私が大声を出したことにより、何人かは正気を取り戻したのか、困惑した表情になった。
討伐隊の中の大男が白髪を担ぎ上げていた。
一見にして、捕まえた山賊に過剰に暴行を与えようとも取れるが、
馬車を待っている現状――そして、裏道の方へ連れ出そうという格好……それはむしろ、白髪の男を逃がそうとしているように見えた。
「……そのまま、下してください」
しかし、大男は私の指示に従わず、走り出した。
「くっ……!」
私は地を蹴った。
「すみませんっ!」
そして、私は跳び蹴りを見舞い、操られている大男を蹴り倒した。




