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急行する救い手たち
馬車は私とセレナ、そしてエルシャーレ公爵家のメイドだったという、
アイナを乗せて、王都『クラウン』に向かっていた。
「はい、これで身体の方は大丈夫だと思います」
私は弱っていたアイナを回復魔法と気功で正常な状態にまで戻していた。
「ありがとうございます。無理を聞いてもらい、回復まで……」
馬車は奴隷商人達が使っていたものだ。
憲兵に顔利きをしてもらい、御者と馬を手配してもらった。
費用の問題があったが、アイナの身分が証明出来たのでエルシャーレ家に請求が行く手筈になっている。
「無実の罪で殺されるかも知れない人がいるんだったら、当たり前のことです。
それに、手を尽くしてくれたのは憲兵さん達ですし」
「それでも、貴女の頼みでなければ、聞いてはいただけなかったでしょう……」
「それは……そうかも知れませんね」
私は仕切り直すように咳払いをした。
「それで、どういうことなのか、詳しく説明してもらえますか?」
「はい、お嬢様……シンシアお嬢様は殺人罪で投獄されてしまいましたが、無実なのです」
「どうして、そう言い切れるんですか?」
「私は知っているのです。真犯人を」