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最後の抵抗
白髪は地面に転がっていた棍棒を手にした。
「……いよいよ、土俵際かな」
棍棒の先を私に向ける――私は真正面から突っ込んだ。
「はぁぁぁっ!」
それを迎え撃たんと、白髪は連続突きを放った。
「これは……!」
棒術というよりは、槍術だった。
それも、憲兵が扱うような公的な槍術に近い……!
「だったら、『隼剣・彗星連撃』!」
剣と槍の打ち合いは剣が不利である。
この場合でも、速度にさえついてこれるのなら、その図式はひっくり返らない。
白髪が槍を使っていたの、なら――
「くっ……」
白髪の顔に焦りの色が見え始める。
それもそうだ、彼が使っているのは棍棒……それも木製の。
どんなに硬い木でも私の頑丈な剣と打ちあえば、木が負ける。
棍棒は一撃毎に削れ、軋み、ヒビが入り、割れ――――そして、ついに折れた。
「ぐぅっ!」
白髪が唇を噛んだのとほぼ同時に私は、白髪の元へ踏み込んだ。
「あ――」
そして、渾身のボディブローを白髪に叩き込んだ。
「がふっ!!」
白髪の瞳が宙を彷徨い、白目をむいた。
そして、そのまま地面に倒れ伏した。
こうなってしまえば、呆気ない幕切れだった。




