最大魔力
まるで、軍隊蟻……自分で考える個を持たず、全体としての意思によって動いているようだ。
まるで、白髪が女王蟻のごとく――
手足のように使われ、
しかし、消耗品のように捨てられる。
集団催眠かなにかなのだろうか――
「くっ……」
冷静さを失ってはいけないことはわかっている。
それでも、自分の意思さえ持たずに襲いかかってくる山賊達に私は苛立ちを覚えた。
「こうなったら……!」
多少消耗が激しくとも、一気に大技で道を切り開くのが得策だと思えた。
私は襲いかかってくる山賊達の中心へと、あえて突っ込んだ。
「私の邪魔を――」
未だ展開したままの『エアスト・フィールド』、
ここにありったけの魔力を込めて、私を中心とした旋風を巻き起こす――!!
「――するなぁっ!」
元々、魔力を消費していたこともあって、それで殆どの魔力は使い果たした。
それでも、この場に集まった山賊達を一網打尽にするには充分だった。
巨大な旋風があけた時、私の視界は開けていた。
山賊達は部屋の端に追いやられ、気を失って、積まれたゴミ山のようになっていた。
天井は突き破られ、それでも崩落はせず、上部にあった地層ごと全て魔法で吹き飛ばしていた。
晴れた青空が、かつて、洞窟であったそこに差し込む――
「……逃がしませんよ」
そして、まだその陽の当たる場所に、白髪はいた。
「はは……化け物め」




