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一撃
「因果?そんなものはない!」
白髪は私の眉間に向けて引き金を引く――が、私は聖魔力を変換し人差し指と中指でつまんで見せた。
「っ!」
「無駄です。仕掛けが分かった以上、対策はとれます」
「……」
白髪は地面を蹴り、後退しながら、銃を連射した。
「無駄だと言ったでしょう!」
私は構わず、突っ込んだ。
白髪が放った弾丸は仕掛けが発動する前に、私の接近により、内部で聖魔力を鉱石化させて、自壊した。
「!?」
「――――聞いてなかったんですか?」
私は低い姿勢で、白髪の懐にまで踏み込んでいた。
「肉体反応なら、間に合っていなかった、って!」
魔石化そのものに身体の反応は必要ない。
触れずとも、出来ることなのだ。
「――っ!」
右の拳をライフルの銃身に叩き込んだ。
純粋に体重とスピードを乗せた拳はハンマーのように、木製の銃身を叩き折った。
白髪は衝撃に抗えず、その場で尻餅をついた。
「――終わりです」
その鼻先に私は剣先を突きつけた。
「……ぐ」
「からくりが割れた時点で、あなたの負けは決まっていました」
「……!」
すると、白髪は何かに気付いたように口元が綻んだ。




