からくり
「そうか、聖魔力――」
私は、くるり、と身体を捻り、地面に着地した。
「これが、その銃のからくりなんですね」
左手には寸前のところで、引き抜いた聖魔力の欠片……一時的に硬質化した聖魔石があった。
「……どういう反応速度だい?」
「肉体操作なら、間に合いませんでしたよ」
私がそう言ったのと同時に、聖魔石は砕けて消えた。
……問題はない、これはただの残滓だ。
「弾丸の内部に意図的な空洞を造ることで、魔力を流し込む余地を与え、変換装置を備えた銃によって聖魔力へと変える……確かに、あくまで物体から防ぐための風の膜をすり抜けるには、いい手ですね」
「……なんで」
「加えて、タイミングよく結晶化することが出来れば、心臓を貫くことも出来た」
「……なんで、そんなことまで、わかるんだ?」
「見たからですよ」
「見た?あの一瞬を?」
白髪の疑問には直接答えず、私は剣で指示した。
「その銃の仕掛けは見極めました。内部に変換装置の核になる、聖魔石があるんですね」
「!」
「都合がいいです。ちょうど、探していたんですよ」
「自分から、奪うつもりかい?」
「そうさせて、もらいましょうか。山賊の因果応報を受けてもらいます」




