圧縮時間
挟撃――私は横っ飛びすることで両方を回避した。
白髪の銃弾は、直線上にいた下っ端に直撃した。
勢いのまま、白髪の足元に倒れこむ下っ端、好機に見えた。
「ちっ」
「『隼け――』」
白髪に詰める――瞬間、白髪は倒れていた下っ端を引き上げ盾にした。
「んっ、のぉをっ!」
ギリギリで、足を踏み込み、跳躍した。
空中から、白髪達を跳び越え、その背後に回る。
しかし、背後に回った瞬間、白髪は自身のライフルを逆手に持ち、私のほうへ狙いを付けていた。
ほんの刹那だった。
圧縮された時間、私は無防備に宙に浮かんだまま。
引き金はとうに引かれていた。
弾丸は、その銃口から射出される。
そのジャイロ回転する弾丸が、私は確かに見えた。
圧縮された時間、私は無防備をさらけ出したまま。
知覚している映像に、身体反射がついていかない。
迫りくる弾丸、防御が間に合わない。
私は確かに死を予感していた――
圧縮された時間、胸元に弾丸が到達する。
風の膜が弾丸を押し返す。
弾頭が潰れ、裂けていく――しかし、その内部から白いエネルギー体が残っていた。
エネルギー体は弾丸の意思を継ぐように、そのまま私の方へ突き進む
圧縮された時間、この胸に届いたのは――――




