使い捨て
「ととっ……」
白髪は大袈裟によろけたかと思うと、ライフル銃をぐるりと回転させて、構え直した。
「この……!」
「一ついいですか?」
追撃しようと、地面を踏み込んだ私に、白髪はのんきに声を掛けた。
それで、動きを止めてしまった私も私だったが……
「なんのつもりです?」
「どちらかと言えば、それは自分が言いたかったことであるんですがね」
「?」
「どうして、山賊に気を使ってるんです?」
「なんの話ですか?」
「どうして、敵である山賊を殺さないようにしてるんですか?」
「……」
いざという時、命を奪う覚悟は出来ている。
しかし――
「自分の意思で動いているとは思えない相手を手にかけろって言うんですか?」
「馬鹿な……彼らが悪党であることは変わらない事実ですよ?」
「!?」
まるで、自分はそうじゃない、というような口調に私は戸惑いを感じた。
「……あなたこそ、どうして仲間を盾にするような真似をするんですか?」
「また、”仲間”ですか?まぁ、そういう風に見えるんでしょうが――」
その瞬間、気を失っていたはずの下っ端がこちらに飛びかかってきた。
「!」
「――自分にとっては、”道具”なんですよ」
白髪はそれに合わせるように引き金を引いた。




