252/1085
抵抗の手段
「そんなこと言われても、抵抗しない訳にはいかないんだよね」
白髪は銃を構えなおした。
「そうですか……!」
私は地を蹴った。
同時に白髪は私の眉間を狙って引き金を引いた。
「『エアスト・フィールド』」
「!?」
銃弾は風魔法の膜によって防がれる。
それでも多少の衝撃は残るが、母の加護を受けたペンダントがそのダメージを無効化してくれる。
私は風の膜をそのまま利用して、白髪に体当たりを見舞った。
「ぐっ!」
白髪は後退し、部屋の隅へと押しやられた。
「そこっ!」
ひるんだ隙をついて、白髪の唯一の武器であるライフルを切り払おうとして――
「ぐ、ううっ!」
「!?」
白髪は左腕を盾にライフルを守った。
予想外の行動に私は一瞬、戸惑った。
ライフルが抵抗の手段である以上、それを失いたくないのはわかる。
それでも、今の攻防でまともなダメージを与えられないことは悟ったはずだ。
故に片腕を犠牲にしてまで、守る意味があるとも思えなかった。
そして、その一瞬の戸惑いをつくように、白髪はライフルを私の胸元に突きつけた。




