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封殺
「まぁ、戦うしかないか、ないよな」
白髪の男はそう言うと、背中に下げていた、木製の銃を構えた。
砲身の長い、猟銃によくあるタイプの小銃に見えた。
「!」
私は身体を捻り、剣を盾にするように斜めに構えた。
「そこ!」
銃弾が私の足元を狙って、放たれる。
しかし、それはブラフだ。
「!?」
微動だにせず、当たらない弾をやり過ごした私に、白髪は一瞬動きを止めた。
そして、その袖の裏に本命だった閃光弾が隠されていることも、私は見切っていた。
「『隼剣』!」
「うおっ!?」
用意していた閃光弾を峰打ちで弾き飛ばす。
「『サマーソルト』!」
「づっ!!」
そして、蹴りを見舞って白髪をさらに部屋の奥へ押し込んだ。
「くっ!」
白髪は姿勢を保ちながら、倒れないように後ずさった。
「逃がす気はありません」
「……参ったな。勝てるとも思ってはいなかったけど」
「最初から、あなたの目的が脱出なのは、読めてました」
「……ふむ」
「抵抗は無意味だと言ったはずです」




