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トウリョウ
私は山賊達を蹴散らしながら、洞窟の最奥まで突き進んだ。
山賊達はどうにか、行く手を阻むようにわいてくるが、
それが誘導でもない限り、私の考えが正しいという証明でもあった。
「はぁっ!」
最後に立ちふさがった山賊ごと、最奥にあった扉を蹴り破った。
山賊は最奥の部屋の床に叩きつけられ、動かなくなった。
最奥の部屋は洞窟の内部に似つかわしくない、水晶にこの辺りの情景を映している、
さながら、監視部屋と言えた。
「ふむ、まぁ、そうなるか」
監視部屋の中心に立っていた男はそう呟いた。
男は二十代半ばから三十代前半ほどに見える若い男に見えたが、
その歳の割に真っ白に染まっている頭髪とガラス玉のような瞳がその異様さを際立てていた。
「あなたが、山賊達の頭領ですね」
「リーダー……リーダーね、そう言う言い方も出来なくはないか」
「抵抗は無駄です。大人しく捕まって下さい」
白髪の男は、ふぅ……とため息を吐くと後ろ髪をかき上げた。
「そう言う訳にはいかなくてね。アジトに脱出経路を作らなかったのは失策だったなぁ……」
なんなんだ、この人は?
自分のことなのに、まるで他人事だ。




