防衛戦の指揮者
「くっ……しつこいなぁ!」
ちーちゃんの呟きで気づく。
山賊達は少人数づつ現れて、正気を失っていた私の大技を誘っていた……?
振り向いて、洞窟の外を見る。
表部隊と山賊達の衝突……しかし、山賊達は表部隊を覆うように配置されている。
この二つの事実は何を意味するか。
山賊達は正気を失っているにも関わらず、統制が取れている。
いや、逆に統制が取れていなければ、おかしい。
私の大技を誘うやり方なんて、まるで捨て駒のようだ。
「………………!!」
だと、するなら、どこかに指揮……いや、操作しているの者がいる。
そして、それは……恐らくこの先、捨て駒を使いながら、私達の進行を食い止めている。
この洞窟が山賊達の拠点であることを考えるなら……この奥に。
でも、仮に私がここを離れるとすれば……
「……ちーちゃん、そのまま一人でここを持ちこたえられますか?」
「え!?」
「恐らく、この先に山賊達のリーダーがいます。
上手くいけば、リーダーさえ倒せば、全て終わるかも知れません。だけど、ここを離れると……」
「外で戦ってる、人達が挟撃にあって危ないって言うんだね?」
「そうです」
「……いいよ」
ちーちゃんは、前を向いたまま答えた。
「正気を取り戻したんだね?それなら、クリスちゃんを信じるよ」




