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疑念
「来い……!」
ちーちゃんは突っ込まず、待ち構えるように剣を構えた。
山賊達がこちらに向かってくる――それを、ちーちゃんは一人で対応して見せた。
何故か――それは、狭い通路の中相手が何人いようとも単純にスペースの問題で彼女と戦える人数が限られていたから。
「はぁっ!」
一人づつ、山賊を倒していくちーちゃん。
山賊達は無闇に突っ込むばかりで、連携らしい連携も取ろうとしない。
――こんな相手に私はなにをやっていたんだ?
「っ!?」
その事実に気付いた時、私は私を取り戻した。
そうだ、私はどうして、こうなった……?
「ち、ちーちゃん、私は……」
声を掛けようとして気付いた。
いや、私だけじゃない……?
山賊達、そして、外から聞こえる表部隊の人達の声……唸り声ばかりで連携を取れているようには思えない。
「……皆、正気を失っている?」
……いや、ちーちゃんはみたところ冷静だ。
ということは、表ルートを通った者だけ?
じゃあ、山賊達は?
どうして山賊達も正気を失っているの……?




