不気味な集団
「はぁっ!たぁっ!」
不意をつくことで一人二人と倒していく。
そして、踊る剣技に切り替え、彼女に気付いた敵を惑わしながら、倒そうとする。
が――
「遅いっ!」
「!?」
リズムを切り替える必要がなかった。
山賊達の反応は鈍かった。
彼女の最速であれば、惑わす必要もなく、倒しきれた。
「ッ――!?」
周囲の二、三人を倒したことで、道は開けた。
それと同時にちーちゃんは違和感を抱いた。
「……まだ、こちらに気付いていない?」
思わず、剣の構えを緩めた。
山賊達は正面ばかりを向くだけで、彼女に気付いた素振りもない。
しかし、おかしいのは山賊だけではない。
表部隊の面々さえも、気付いていない。
ましてや、ちーちゃんが倒した山賊と戦っていた人達は何故か、
倒れされている山賊とまだ戦っている最中のごとく、宙に攻撃をぶんぶんとしていた。
「……なんなの、これ」
その異様さにたじろぐ、ちーちゃんだったが、すぐに頭をぶんぶんと振って、冷静になろうとつとめる。
「普通じゃないんだ、こんなの……とにかく、クリスちゃんと合流しないと!」
ちーちゃんは剣技を使うまでもなく、跳躍し、表部隊の面々を跳び越えた。




