独走
そして、廻る。
踊る剣技の応用だ。
くるくるくるくる、とステップを踏みながら、発動する罠を打ち落とす。
回転によって四方八方からの罠を対処する。
あとは上下。
地面と空から来るものは、ステップと気功による警戒でこなす。
全方位に警戒と対処を行いながら進んでいける。
「――!」
そして、足を止めた時、前方から鉄球が転がり落ちて来ていたのを――
「『波拳・龍撃打』!」
拳で打ち砕いた。
そして、それが罠の密集地を抜けた合図でもあった。
「!」
正面から来た矢を二本指で止めた。
それは罠ではなく、ボウガンから発射されたものだった。
「ちっ!何者だ、女ぁ!」
前方に山賊らしき男がボウガンを構えていた。
私は地を蹴った。
「この!」
ボウガンの第2射が発射されると、私は姿勢を低くして回避し、
次の一息で下から男のボウガンを切り払った。
「なっ……はや――」
その勢いのまま、男の円錐に肘打ちを見舞うと、男は目を真っ白にして、その場に倒れた。
「……一人、ですか」
ということは、私たちが攻めてきたことに山賊の本隊は気付いていない可能性が高い。
それなら、奇襲的に一気に突き崩せるかも知れない。
私は後方を部隊の合流を待たずに走り出した。




