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罠の予感
「……要は冬眠に入った動物を起こすのと同じだよ」
「え?」
「セレナちゃんが、正常に活動出来る状態に戻してあげればいい」
「それって……」
「呪いが原因でああなったんだから、その影響を取り除いてあげれば、きっと治る、はずだよ」
「じゃあ、聖魔力で中和すれば……」
「うん、結局はそこに行きつく、だから、元々の判断は間違ってなかったんだよ」
「そう、ですか……」
そう口にしながらも、釈然としないものがあった。
何かを見落としている。
そんな気がしてならなかった。
……
討伐隊は『セルロ山』に入っていた。
恐らくは生活のしやすい高原の辺りが、山賊の拠点になっていると思われたが、
どこに山賊の目があるかわからない。
「リタさん、部隊を分けませんか?」
「どうしてだい?」
「ここから先、罠がないとは限りませんし、
固まって進むのは、向こうからは大きな的があるようなものです」
と、いうより、山賊拠点だというのだから、罠が仕掛けられていない訳がない、と思えた。
「確かにそうだね、正面と裏の二手に分けようか」




