結晶の性質、役割の本質
改めて、結晶に触れる。
「……」
躊躇はあったが、これまでも何度か顔の辺りの結晶は砕いたことがある。
私は、結晶の一部を砕き、自分の手のひらサイズの結晶を取り出した。
「――」
この結晶は魔石に近い、魔石には空気を通すような性質はなかったはずだ――
「『エアロ』」
威力を最大限に弱めて、風魔法をぶつけてみる。
それでも、結晶に僅かに亀裂が入った、空気が通った形跡はない。
「……違う?」
損傷を負ったためか、結晶はすぐに粉々に崩れてしまった。
以前に結晶を取り除いた時もそうだった。
大元から離れてしまうと、すぐに崩れてしまう。
――――まるで、力を失ったように――――
「!」
――力を失った?
つまりは、この結晶は単独で存在出来ない。
セレナがいなければ――
セレナに寄生している――?
いや、そうではなく、そうではなく!
これがセレナのためのモノならば――
「だったら――」
かつて、セレナに出会った時のように、魔法で室内を水蒸気で満たした。
あえて、私の魔力の残滓が濃くなるように、調整した。
そして、セレナを覆う、結晶に触れて、魔力の流れを探ることで、空気の流れを見てみる――
そして、結晶は水蒸気を含んだ、外の空気を取り込み、セレナへと送り込み――
そして、害になるで、あろう私の魔力をセレナの体内から取り除き、結晶の外へと押し出していた。
つまり、この結晶は――
「まるで、生命維持装置…………あるいは、セレナの一部……セレナ自身、なの?」




