観察
片目でちらり、とセレナの様子を確認する。
結晶に覆われているのは、変わらない。
結局、魔石を撤去すべきか迷って、そのままにしている。
思えば、つくづくおかしな症状だ。
言い方はよくないが、こんな状態になって、まだ生きていることが不思議なくらいだ。
「……うん?生きてることが不思議……?」
私は立ち上がって、セレナの傍に駆け寄ってみる。
セレナは全身を結晶に覆われてはいるものの、それでも生きている。
結晶づたいに、呼吸の音も感じられる…………結晶に覆われているのに。
事の異様さに気を取られ、何か大事なことを見落としているのかも知れない。
確か、四日前のことだ。
初めは最低限、呼吸は確保できるように、顔の辺りの結晶は取り除いていた。
でも、結晶が頻繁に覆おうとすることで、いつの間にか、顔も全て覆われていた。
それに気付いた時、慌てて取り除こうとしたが、呼吸音が聞こえたことから、
下手に触れないようにしようという結論になった。
この結晶の中にありながら、セレナはそのまま生きている。
セレナの全身を覆う結晶に空気穴のようなものもないし、中が空洞という訳でもない。
それはつまり、この結晶は酸素を取り込み、セレナへと送り込んでいる……?




