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変異
「正直、呪い自体は専門外なんですが、こういう時、なにもしなくていいんですか?」
「呪い自体にはかかっていないから、奪われた体力が回復するまで休ませるといいよ」
「そうですか」
この時、私も含め、誰も重く考えていなかった。
ちーちゃんの言葉を信じていたからだ。
その判断自体は、決して間違ってはいなかった。
セレナが普通の人間だったなら――
――三日後。
「……どういうことなんですか?」
「わからない、どうしてセレナちゃんが……こんな……結晶化するなんて」
宿屋のベッドで眠るセレナは、鮮やかな碧色の結晶に覆われていた。
異変を感じたのは、丸一日経っても目覚めなかったことからだ。
そこから、回復魔法をかけてみたり、シンシアさんの用意した薬を試したりと、色々な方法を試したが、セレナは目覚めることはなかった。
しかし、同時期におかしな兆候が現れた。
セレナがかいた汗が碧色に変色し、放っておくと固まり、結晶化していったのだ。
謎の症状に、対処が出来ず、医者を頼っても駄目で、
結晶を除去していいのかの判断もつかずにいると、セレナはいつの間にか結晶に覆われていた。




