過信のリスク
「あ、ああ……少し離れたところに『セルロ山』ってところがあって、
そこの高原が昔”一角獣”の住処だったんだ」
「なるほど、じゃあ、そこに向かうことにしましょう」
「待ってくれ、『セルロ山』は魔物達がいなくなって、今は山賊どもの拠点になっているんだ」
「山賊、ですか……大した問題にはなりませんよ」
「アンタ、その辺の野盗と同じに考えてないかい?
山賊は野盗と違って、連携を取ってくるし、荒事も数段慣れているんだ」
確かに、そうなるとシンシアさん達を連れていくのは、危険かも知れない。
「じゃあ、私一人で行くことにします」
「!?ま、待ちなよ、腕に覚えがあるのかも知れないが、要は奴らのテリトリーに踏み入れるってことだ。
土地勘もないのに、無茶だよ」
……確かに、これは慢心かも知れない。
いくら、山賊と言えど、遅れをとるつもりはないが、
直接戦わずとも、消耗させるやり方はある。
自信があると言っても、過信かも知れない。
これは私の未熟さだ。
「でも、そうなるとどうするんですか?他に方法は……」
「一人では危険だが、土地勘のある、この街の人間を連れていけばいいのさ」
「え?」
「ちょうど、『セルロ山』の山賊には、ウチらも被害を被っているのさ。
有志を募って、討伐隊を結成しよう!」




