クリス先生の魔石教室
私の言葉を聞いて、リタ船長達はポカンとしていた。
「……どうしたんですか?」
「い、いや、魔石って、そりゃ、おとぎ話に出てくるやつだろ!?」
確かに、偉大な魔法使いが出てくるおとぎ話には、魔石はよく登場する。
「おとぎ話と言っても、元となる逸話は存在します。同じく魔石も架空の物ではなく、存在するんです」
「なんだって!?」
私は実際にやって見せることにした。
「魔法を発現する際、消費されるエネルギーが魔力です。
これは、機械を動かす際に燃料を燃やしてエネルギーにするのと同じで、燃焼される魔力燃料が元になっています」
「魔力燃料!?」
「ええ、と言っても、実際の燃料とは違い、無害な気体として身体の中や周りの空気中に存在しているので、視認することは出来ません。しかし――」
私はぐっと左手を握りしめた。
「例えば、液体である水が、気体である水蒸気、そして固体である氷になるように、
大抵の物質は、温度によってその姿を変えます。
つまり、燃料と同じ性質を持つ、魔力燃料も――」
ぱっと左手を開くと、薄紫色の小石が精製された。
「この様に、凝固させれば、固体になります。これが、魔石です」




