因果
「存在しないだって!?」
ちーちゃんは勢いよく、立ち上がった。
「なら、ワタシはなん……で……」
しかし、立ちくらみのように、くらっとしたかと思うと、再びその場に座り込んだ。
「ちーちゃん!?」
「……」
ちーちゃんは額を押さえたまま俯いていた。
「ちーちゃん!」
私は肩を掴んで揺さぶった。
「わた……シ、は……?」
「え?」
「なんて言おうとしたんだ……?」
「――」
ちーちゃんの記憶は未だ曖昧だ。
その思い出せない部分から、支離滅裂とも取れる言動になったと感じとれた。
「チヒロさん、大丈夫なんですか?」
私とは反対の肩をシンシアさんが掴む、
ちーちゃんは、額に当てていた手を、ずるり、と口に移して考える素振りをした。
「……いや、だとしても、だよ」
「え?」
「あれは確かに”悪魔の眼”の症状だった。それはつまり……」
「ちーちゃん?」
「……魔物が存在せずとも、その呪いは在るということじゃないかな?」
「っ」
「そうだ、”毒蛇の魔物”がいなくとも、
”毒素”が消えてなくなった訳じゃない……なら」
「……”呪いを使える魔物”がいなくなったとしても、
”呪い”そのものが消えた訳じゃない、ってことですか?」
「そう!」




