上手い話には裏がある
「船長!?」
「しかも、都合のいいことにウチの船は貿易船、さらに次の目的地は『パラガム』だ」
「ええっ!?」
「……いくらなんですか?」
ぐらり、と身体を揺らしながら、シンシアさんは起き上がった。
「シンシアさん?」
「話だけなら、あったんですわ……」
よかった、喋り方戻ってる……
「でも、今は『パラガム』との貿易利益は上がりに上がっていて、積載費が以前の3倍になっていたのですわ……流石にそこまでは出すことが出来ませんのよ?」
「そうか……それについては構わない。以前の値段で受けもとう」
「本当ですか!?」
「ああ、ただし……条件をつけさせてもらう」
「条件?」
「ウチの航海士の目が病にかかっちまってね……そいつを治して欲しいんだ」
「……もしかして、セレナに聞いてたのって」
「ああ、回復魔法は効かないんだ。だから、他の方法を探してる」
「魔法の効かない……病気?」
「そういう訳さ。腕のいい航海士だが、このままだと、引退させるしかない。
治してくれたら、いくらでも……と言いたいところだが、オーナーは別なんでね。
以前の価格がアタシの権限での最大限の割引さ。
受けてはくれんかね?」




