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怪我の功名というか
「わしゃあ、情けのうて堪らんのですわ」
「し、シンシアさん、そのへんにしましょう。ね?」
「せやかて……」
「ほらほら、せっかくの料理が冷めますよ?」
「うう……」
……
「あー……うー……」
「寝不足も重なって、眠っちゃいましたね」
「色々、悪いことしちゃいましたかね……」
「クリスさんのせいではないですよ」
「セレナちゃん、疲れてるだろうから、”神仙術”かけてあげたら?」
「そうですね」
セレナが手を当てて、シンシアさんを回復させた。
すると、それを見ていた女性がこちらに話しかけてきた。
「ねぇ、それって、回復魔法じゃ……ないよね?」
「ええ、そうですよ」
「……」
女性は口に手を当てて考える素振りを見せた。
「なんですか?」
「アンタ達って、馬車積んで、『パラガム』に行きたいって言ってた子だよね?」
「え、どうして……?」
「悪いね。話してるの、聞かせてもらったよ」
「そ、そうですか……」
「ちょうど、ウチの船がね。ついさっき着いたばっかだったから、ウチには交渉来てないと思うけど」
「え、船乗りなんですか?」
「ああ、これでも船長やらせてもらってる」




