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満身創痍(一名除く)
――翌朝
「ふわわわ……」
「むにゃむにゃ」
「すーすー」
「……」
『ポートピア』に向けて進む馬車の中は寝不足でボロボロだった。
「み、みんな、ごめんなさい。夜遅くまで付き合わせて」
「まぁ、街についたら、割ける時間も限られるでしょうし、キリよく終わったので、よかったのでは?」
「そうですわね……でも、流石に私は筋肉痛と寝不足のWパンチですわ……」
「か、回復魔法かけましょうか?」
「いえ、気付け草で十分ですわ……」
そう言って、シンシアさんは草を噛んでいるが、それでも眠そうだった。
「ちーちゃんに至ってはずっと眠ってますね……」
「”神仙術”で回復しながら、とは言え、クリスさん並にずっと活動してましたからね」
「でも、手綱を引く役割はこういう時辛いですわね」
「あの、だから、私変わりますよ?」
「いえ、役割分担は役割分担ですから!」
「クリスさんはどっしりと構えていて下さい」
そう言ってくれるのはありがたい反面、頭が固いとも取れた。




