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言い伝えには理由がある
「まぁ、そう言うなら……」
二人は本当に疲れているようで、暫く黙ったまま回復を受けていた。
「……そう言えば」
「うん?」
「夜中に笛を吹くと蛇が出る、って迷信ありましたわね」
「ああ、あれは、夜中に笛を吹くと、泥棒に狙われるからってことらしいよ」
「泥棒、ですか?笛で?」
「なんだっけ、それだけ、裕福な家庭なんだろ、って」
「ただの笛で、ですか?」
「昔から言われてたから、昔はそうだったんじゃない?」
「なんだか、釈然としませんわね」
「……ああ!じゃあ、お祭り騒ぎをしてるから、ってことじゃないかな」
「お祭り騒ぎ……確かに裕福そうですし、意外と泥棒のねらい目なのかも知れませんわね」
…………なるほど、そういうことか。笛でおびきだしてしまったのかも知れない。
「……セレナ、任せていい?」
「いいですけど、どうしたんですか?」
「うん、ちょっと……野盗が遠巻きに見ているみたいだから」
私は静かな声で囁いた。
「!」
「!?」
「っ」
「みんなはここにいて下さい」
ちょうどいい、踊る剣技……どこまで掴んだか試せる機会だ。




