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センスを補う練習量
「……でしたら、私達の出番ではなくて?」
「ん?」
「シンシアさん、セレナ!」
「私が貴族の娘であることをお忘れですか?社交界も舞踏会でのダンスも専門ですわ」
「あっ」
確かに、修練ということで、シンシアさん達に頼ること自体を頭から抜け落ちていた。
「わたしは身長差があるので、練習相手には向きませんが、”神仙術”で体力を回復出来ますよ」
「……そうだった」
よくよく考えれば、ちーちゃんと私の元々の体力の問題もセレナに手伝ってもらえば、
改善出来たのではないか。
「うん、シンシアちゃんと二人で練習相手になって、セレナちゃんにバックアップして貰えば、
練習量は補えるね」
「それでは、お相手いたしますわ」
「よ、よろしくお願いします」
シンシアさんは私の手を握った。
「あ、そう言えば、チヒロさん?」
「うん?」
「音楽はありませんの?」
「…………確かに、そっちのほうが覚えやすいよね」
すると、ちーちゃんは袖から笛を出した。
「えっ」




