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リード
ちーちゃんは耳の上を指で、トントンと叩いていると、「あ」という声を漏らした。
「じゃあ、リードするから一緒に踊ってみよ!」
「リード?」
疑問に答えるように、ちーちゃんは私の手をとって向かいあった。
「あ……」
「この世界じゃあ、こっちのがポピュラーじゃないかな」
「そうかも知れませんが、社交界とは縁はありませんし……」
舞踏会は貴族のものだ。
ラン兄さんのように、王都で立場を持っているのなら、ともかく、
山中の村で暮らしていた私には縁がなかった。
「じゃあ、基礎的な動きは教えるから、あとはこっちに合わせて動いてみて」
「は、はい」
……
「うん、やっぱりこっちに合わせるほうが、いい動きだね」
「確かにこちらの方がやりやすいです。これを剣に反映させればいいんですね」
「それはそうなんだけど……リードなしでもやれる?」
「な、何度もこの動きを繰り返して覚えれば……!」
「いや、こっちの体力が持たないって……」
「あっ」




