狂気
「話……話ね。何を話そうっていうんだ」
「もうすぐ、ここには憲兵達が押し寄せるでしょう」
「ハン……年貢の納め時ってことか」
「ですが、その前に彼女に直接謝ってもらいましょうか」
「……あ?」
男はセレナの顔をじろじろと見た。
「お前、覚えてるぞ。確かロナウドのじじいのところに売っぱらった……」
「記憶力はいいんですね」
「待て!?確か、疫病にかかって回収して……処分は下っ端に任せ……」
「処分?」
私は思わず男の右手を踏み抜いた。
「あがああっ!」
「人の命を……なんだと思ってるんですか!」
「ぐっ……ま、全く……だな。ひひ……だから、こんな仕事をして……んだよ」
「開き直る気ですか?」
「ひ、ははは……それより、聞かせてくれよ……なんで、あいつが生きてんだ?病気で先がないと思ってたが……」
「そんなの、私が治しましたよ」
「!?まさか、お前が”奇跡の腕”を持ってるっていうのか!?」
「奇跡の腕……?なんの話です?」
「なんだ……違うのか。ウチのさらに上の組織のボスが探してんだよ」
「上の組織……そうですか」
「はは……まさか、それも潰そうっていうのか?
やめとけ、いくらお前が強いったって、
上のほうにある非合法な組織っていうのは単純な強さじゃどうしようもないんだよ。
俺らみたいな下層と違ってな」
「あんたには関係ない話です。それより……逮捕される前にセレナに謝ってもらいましょうか」
「……ふ、ふふ。ふひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!」
「!?」
狂ったように笑い出した男に、私は思わず後ずさりした。




